ECサイトのリニューアルの進め方|判断基準・手順・期間と費用の目安

「サイトが古くなってきた」「少し直すだけでも費用がかかる」「スマホで買いにくいと言われる」。ECサイトのリニューアルを考えはじめるきっかけはさまざまです。ただ、リニューアルには、デザインを直すだけのものから、カート(ECシステム)ごと乗り換えるものまで幅があり、どれを選ぶかで期間も費用も大きく変わります。
この記事では、ECサイトのリニューアルの種類と判断の基準、進め方、失敗しやすいポイント、期間と費用の目安を、実際にリニューアルを担当してきた立場からまとめます。
結論:まず「何を変えるリニューアルか」を決める
ECサイトのリニューアルは、大きく3つに分かれます。最初にどれに当たるかを決めると、必要な予算と期間、社内の準備が見えてきます。
種類 | 変えるもの | 向いている場合 | 期間の目安 |
|---|---|---|---|
部分リニューアル | トップページや商品ページなど一部の画面 | カートには不満がなく、見た目や導線を整えたい | 1か月前後〜 |
全面リニューアル(カートはそのまま) | サイト全体のデザインと構成 | ブランドの見せ方を変えたい、使いにくさを全体で直したい | 2〜4か月 |
カートを乗り換えるリニューアル | カート(ECシステム)とデザインの両方 | 改修のたびに費用がかかる、必要な機能がない、運用の手間が大きい | 3〜6か月 |
期間は、当社の事例(部分リニューアルで1か月、カートの乗り換えを含む全面リニューアルで2か月)と、公開されている構築事例(3〜6か月)をもとにした目安です。データの量や外部システムとの連携があると長くなります。
リニューアルを考えたほうがよい7つのサイン
次のうち、当てはまるものが多いほど、リニューアルの効果が出やすい状態です。
- 少し直すだけでも開発費がかかる:テキストやバナーの差し替えのたびに制作会社や開発者への依頼が必要
- スマホで買いにくい:画面が崩れる、カートまでの手順が多い、決済方法が少ない
- 表示が遅い:画像が重い、古い仕組みのまま継ぎ足しで作られている
- やりたい施策ができない:定期購入、ギフト、予約販売、レビュー、ポイントなどが今のカートで難しい
- ブランドや商品構成が変わった:ブランドの統合、ギフト向けへの転換、商品数の大幅な増加など
- 運用が特定の人に頼っている:更新方法を知っている人が一人しかいない
- カートの保守や安全面に不安がある:古いバージョンのまま更新できていない、サポートの状況がわからない
カートを乗り換えるか、今のカートで直すか
いちばん大きな分かれ道は、カートを乗り換えるかどうかです。乗り換えは手間も費用もかかるので、「乗り換えないと解決しない課題か」を先に確かめます。私たちは、次の4つの観点で判断しています。
- コストに見合うか:乗り換えの費用を、改修費や運用の手間の削減、売上の伸びで回収できるか
- 長く運用できるか:社内で更新・運用を回せるか、数年後も使い続けられるか
- 技術的な問題はないか:移せないデータ、作り直しが必要な機能、外部システムとの連携はどうか
- 売上計画に問題がないか:繁忙期と重ならないか、公開直後の一時的な落ち込みに耐えられるか
判断の詳しい考え方と準備は、ECサイトのカート移行・乗り換えの進め方にまとめています。
リニューアルの進め方(7ステップ)
- 今のサイトの数字と課題を整理する:売上、アクセス、転換率、よく売れる商品、問い合わせの多い点、スマホとパソコンの比率など。リニューアル後と比べるための基準にもなります。
- 目的と目標を決める:「転換率を上げる」「更新を社内でできるようにする」「ギフト需要を取る」など。目的が決まると、作り込む場所と後回しにする場所が決まります。
- 残すもの・やめるものを決める:ページ、機能、アプリ、運用ルールを棚卸しし、使われていないものは持ち込まない。
- カートと制作会社を決める:乗り換える場合はここで候補を比べます。カートの比較はecforceとShopifyの比較、制作会社の選び方はEC制作会社の選び方を参考にしてください。
- 設計・デザイン:購入までの導線、商品ページの情報、ブランドの見せ方を設計します。
- 構築・データ移行:商品、顧客、注文履歴、定期購入の契約、ポイントなどを移します。何をどこまで移すかで工数が大きく変わります。
- テスト・公開・公開後の改善:注文、決済、メール、在庫連携を確認して公開。公開後は数字を見ながら改善を続けます。
失敗しやすいポイントと対策
1. 検索からの流入が落ちる
リニューアルでページのURLが変わると、それまでの検索の評価が引き継がれず、流入が落ちることがあります。古いURLから新しいURLへの転送(301リダイレクト)を、ページ単位で漏れなく設定するのが基本です。
あわせて、公開後はSearch Consoleの「URL検査」で、Googleから見たページが正しく表示されているかを確認してください。見た目は問題なくても、ページの表示に使うファイルを検索エンジンが読めない設定になっていると、本文が読み込まれず評価が下がることがあります。
2. 会員や定期購入のお客様が困る
カートを乗り換えると、会員のパスワードは引き継げないことが多く、お客様に再設定をお願いすることになります。定期購入の契約やポイントも、移し方を事前に決めておかないと、請求漏れや問い合わせの増加につながります。お知らせのメールや画面の案内も、移行作業の一部として準備しましょう。
3. 公開時期が繁忙期と重なる
公開直後は、操作に慣れない、細かな不具合が出るなどで、一時的に数字が落ちることがあります。セールやギフトの繁忙期の直前は避け、余裕のある時期に公開する計画にします。
4. 公開後に誰も運用できない
作って終わりにならないよう、商品登録、バナーの差し替え、セールの設定などを社内で回せる作りにし、手順を残しておきます。
事例:ブランド統合にあわせてEC-CUBEからShopifyへ
食品ブランド「THE ROAST BEEF」の公式オンラインストアでは、グループブランドとの統合と、ギフト向けブランドへの転換にあわせてリニューアルを行いました。
- 課題:EC-CUBEで運用していたが、サイトを改修するたびに開発費がかかっていた
- やったこと:Shopifyへの乗り換え、2つのブランドの色と世界観を両立するデザイン、ブランドごとの紹介ページ、使いやすさの改善と機能の拡張
- 担当範囲と期間:戦略設計・情報設計・ディレクション・デザイン・実装、2か月
- その後:リニューアル後もECの売上は毎年伸びており、クリスマス商戦の運用やLPの制作も続けて担当しています
詳しくは事例ページと、EC-CUBEからShopifyへの乗り換え方で紹介しています。
期間と費用の目安
費用は、リニューアルの種類と作り込みの深さで大きく変わります。Shopifyで新しく作る場合の制作費は、テーマを活かした構築で50〜100万円、オリジナルデザインで100〜300万円、外部システムとの連携を含むと300万円以上が目安とされています(PRONIアイミツ)。カートを乗り換える場合は、これにデータ移行の費用が加わります。
Shopifyの毎月の費用や、月商ごとの試算はShopify構築の費用相場で詳しく解説しています。
なお、国の「デジタル化・AI導入補助金」(旧IT導入補助金)は、ECサイトの制作費そのものは対象外で、EC運営を効率化するソフトなどが対象になると解説されています。使えるかどうかは、年度ごとの公募要領で必ず確認してください。
よくある質問
リニューアルにはどのくらいの期間がかかりますか?
部分リニューアルなら1か月前後から、全面リニューアルは2〜4か月、カートの乗り換えを含む場合は3〜6か月が目安です。移すデータの量や外部システムとの連携があると長くなります。
リニューアルで売上は下がりませんか?
公開直後は一時的に下がることがあります。URLの転送、会員・定期購入の移行、お客様への案内を事前に準備し、繁忙期を避けて公開することで、落ち込みを小さくできます。
カートを乗り換えるべきかだけでも相談できますか?
はい。乗り換えずに今のカートで直したほうがよい場合もあります。今の課題と数字を伺ったうえで、乗り換えるかどうかから一緒に判断します。
まとめ
ECサイトのリニューアルは、まず「部分」「全面」「カートの乗り換え」のどれに当たるかを決めることから始まります。カートを乗り換えるかは、コスト・長期の運用・技術・売上計画の4つで判断し、公開前にURLの転送と会員・定期購入の移行を準備しておくことが、失敗しないためのポイントです。
株式会社Ruskaは、Shopify・ecforceでのリニューアルとカートの乗り換えを、判断の段階から公開後の運用まで一貫してお手伝いしています。リニューアルについて相談する →
出典
#リニューアル