【解説】経産省の2025年EC市場調査
物販EC化率は9.8%で横ばい

経済産業省が2026年10月21日、「令和7年度電子商取引に関する市場調査」の結果を公表しました。1998年度から毎年続く調査の28回目で、2025年(1〜12月)の国内BtoC-EC市場は27兆5,580億円、前年から1兆4,355億円(5.5%)増えました。一方で、物販系分野のEC化率は9.80%と、前年の9.78%からほぼ動いていません。
何が変わる?
BtoC-ECを3つの分野に分けると、伸び方にははっきり差があります。
- 物販系:15兆8,233億円(前年比3.97%増)。EC化率は9.80%
- サービス系:8兆9,362億円(8.64%増)。旅行・飲食・チケット販売などが伸びをけん引
- デジタル系:2兆7,985億円(4.52%増)
物販系をカテゴリ別に見ると、規模・伸び率・EC化率は次のとおりです。
- 食品、飲料、酒類:3兆3,332億円(6.96%増)、EC化率4.66%
- 衣類・服装雑貨等:2兆8,941億円(3.43%増)、EC化率24.08%
- 生活家電、AV機器、PC・周辺機器等:2兆8,829億円(5.05%増)、EC化率43.08%
- 生活雑貨、家具、インテリア:2兆6,258億円(2.51%増)、EC化率31.73%
- 化粧品、医薬品:1兆647億円(4.90%増)、EC化率9.11%
- 書籍、映像・音楽ソフト:1兆8,495億円(1.14%減)、EC化率57.93%
- 自動車、自動二輪車、パーツ等:3,742億円(12.18%増)、EC化率3.89%
このほか、CtoC-EC(フリマアプリなど)は2兆6,870億円(6.34%増)、BtoB-ECは560兆870億円(8.9%増、EC化率45.9%)でした。越境ECでは、中国の消費者が日本の事業者から購入した額が2兆7,560億円、米国の消費者が日本の事業者から購入した額が1兆6,527億円と推計されています。
EC事業者への影響
数字から読み取れるのは、物販ECは伸びてはいるものの、消費全体に占める割合はほぼ頭打ちだということです。市場が広がる分だけ売上が自然に増える時期は過ぎ、同じカテゴリの中でお客様を取り合う構図が強まっています。
- 食品・飲料・酒類:主要カテゴリで最も伸び率が高い一方、EC化率は4.66%と低く、まだ伸びしろがあります。定期便やギフトなど、繰り返し買ってもらう仕組みの作り込みが差になりやすい分野です。
- アパレル・雑貨・家具:EC化率は2〜3割に達し、伸び率は2〜3%台です。新規顧客の獲得コストが上がりやすいため、既存顧客のリピートや客単価の向上が重要になります。
- 化粧品・健康関連:伸び率は約5%で、EC化率は9%台にとどまります。定期購入の比重が大きい業態では、引き続き表示や解約導線のルールへの目配りも欠かせません。
- 越境ECを検討する事業者:中国・米国の消費者による日本からの購入は大きな規模で推計されており、海外販売は選択肢として現実味があります。
今やるべきこと
- 自社の2025年の売上の伸び率を、該当カテゴリの伸び率(例:衣類3.43%、食品6.96%)と比べ、市場並みか、上回っているかを確認する
- 新規とリピートの売上比率を出し、リピート施策(定期便、会員特典、メール・LINE)に回す予算を見直す
- EC化率が低いカテゴリ(食品・化粧品など)では、実店舗や卸で買っている層をECに呼び込む施策を検討する
- 海外からの注文やアクセスがある場合は、越境ECの小さなテスト(海外配送の設定、多通貨表示など)を検討する
- 報告書の本文で、自社カテゴリの推計方法や前年からの推移を確認し、来期の計画の前提にする